公共工事におけるアスベスト調査積算の基本構造

公共事業の積算において、アスベスト調査費用は主に以下の3つの要素で構成されます。国土交通省の「建築保全業務積算基準」や「設計業務等標準積算基準書」、あるいは各自治体の単価表などがベースとなります。

  1. 直接人件費(書面調査・現地調査)
  2. 直接経費(分析費用・旅費交通費・機材費)
  3. その他原価・一般管理費等

調査は「書面調査」と「現地調査」を経て、必要に応じて「分析調査」を行う流れとなります。積算においてもこのプロセスごとの積み上げが必要です。

1. 調査業務(技術者単価)の目安

調査業務は、設計図書の確認(書面調査)と、実際に現地で建材を確認し試料採取を行う(現地目視調査・サンプリング)工程です。

ここでは、厚生労働大臣が定める「建築物石綿含有建材調査者」や「工作物石綿事前調査者」といった有資格者が業務にあたります。

  • 技師(主任担当者)クラス:1日あたり 45,000円 ~ 65,000円程度
  • 技術員(補助者)クラス:1日あたり 35,000円 ~ 50,000円程度

※上記はあくまで公共工事設計労務単価等を参考にした目安であり、地域や年度により変動します。

積算のポイント 延床面積や工作物の規模に応じて「歩掛(ぶがかり)」を設定します。例えば、延床面積1,000平米程度の庁舎の場合、書面調査に0.5〜1.0人日、現地調査(サンプリング含む)に1.0〜2.0人日程度を見込むのが一般的です。図面が存在しない場合は、図面復元のための工数が別途必要になります。

2. 分析調査費用の相場と基準

現地調査で石綿含有の判断がつかない場合、建材の一部を採取して分析を行います。公共工事の積算で最も変動しやすいのがこの項目です。

定性分析(JIS A 1481-1 または 2) 石綿の「有り・無し」を判定します。現在は6種類(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)すべての有無を確認する必要があります。

  • 単価目安:1検体あたり 25,000円 ~ 45,000円

定量分析 定性分析で「有り」と出た場合に、含有率を調べます。ただし、法改正により「石綿あり(含有率不明)」として、最も厳しい管理基準で除去工事を行う場合は、定量分析を省略できるケースもあります。

  • 単価目安:1検体あたり 30,000円 ~ 50,000円

積算のポイント 「みなし判定」を有効活用することでコストを抑えることが可能です。設計図書や目視で明らかに含有とわかる場合(例:石綿含有吹付けロックウール等)は、分析せずに「含有」とみなして除去費用を計上する方が、トータルコストが安くなる場合があります。

3. 特殊条件による補正

以下のようなケースでは、標準的な積算に加えて補正が必要です。

  • 高所作業:体育館の天井やプラントの配管など、脚立で届かない場所は、ローリングタワーや高所作業車の費用、およびオペレーターの人件費が必要です。
  • 夜間・休日作業:稼働中の病院や学校、役所など、日中の調査が困難な場合は、労務単価に割増係数を乗じる必要があります。
  • 閉鎖空間・危険箇所:ピット内や焼却炉内部など、酸欠や有害物質のリスクがある場所では、安全管理費(送風機、ガス検知器、保護具等)の積み増しが必要です。

労働安全コンサルタントの視点:精度とコンプライアンス

安衛法および大気汚染防止法に基づき、2023年10月以降、分析調査を行えるのは「必要な知識及び技能を有する者(分析調査者)」に限定されました。積算の際には、見積もりを取る業者がこの要件を満たしているか確認が必要です。安価すぎる業者の場合、精度管理や資格要件を満たしていないリスクがあります。

八王子市左入町に本店を置く安全環境エンジニアリングでは、多摩地域や首都圏の現場において、法令遵守はもちろんのこと、実務に即した安全で効率的な調査計画の立案を重視しています。例えば、過去の改修履歴が不明確な公共施設において、どの範囲を「同一建材」とみなして検体数を最適化するかといった判断は、経験豊富な調査者の知見が積算額に大きく影響します。

まとめ:適正な予算計上のために

アスベスト調査の積算で失敗しないためには、単に「一式いくら」で見積もるのではなく、以下の項目を明確にすることが重要です。

  1. 対象範囲の明確化(解体・改修範囲の図面確認)
  2. サンプリング数の想定(類似建材のまとめ方)
  3. 分析項目の選定(定性のみか、定量も必要か)
  4. 現場条件の確認(高所、夜間、稼働状況)

公共事業においては、事後的な追加予算の確保が難しいケースが多々あります。設計段階や発注段階で、余裕を持った検体数の想定と、リスクを見越した予備費の検討をお勧めします。

安全環境エンジニアリングでは、労働安全コンサルタントの知見を活かし、法改正に対応した正確な調査と、実態に即した無理のない積算サポートを行っております。具体的な単価設定や歩掛の考え方でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

【積算相談窓口】

  • お電話: 042-682-1223(担当:安全環境エンジニアリング株式会社 環境事業部)
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