【実務担当者向け】法改正に対応したアスベスト事前調査の基本フローと留意点
建設工事や改修工事における「石綿(アスベスト)障害予防規則」および「大気汚染防止法」の改正により、事前調査の義務化や報告制度が厳格化されています。特にゼネコンの安全担当者様や公共事業の発注担当者様におかれましては、コンプライアンス遵守と工期管理の両立において、正確な調査フローの把握が不可欠となっています。
今回は、八王子市左入町に本店を置く安全環境エンジニアリングが、労働安全コンサルタントの視点から、最新のテキストに基づいた「アスベスト事前調査の標準的なフロー」について解説します。

事前調査の全体像
アスベストの事前調査は、単に「現場を見て回る」だけではありません。法的に定められた手順を踏まないと、不適切な調査とみなされ、後の工事で飛散事故や作業員のばく露事故につながるリスクがあります。
調査は大きく分けて以下の4つのステップで進行します。
- 書面調査(設計図書等の確認)
- 現地目視調査
- 分析調査(または「みなし」判定)
- 報告書の作成と行政報告
それぞれの工程における実務上のポイントを見ていきましょう。
1. 書面調査(設計図書等の確認)
調査はいきなり現場に行くことから始まるのではなく、まずは机上での情報収集からスタートします。
- 設計図書の確認: 竣工図、改修図面、設備図面などを収集します。特に「特記仕様書」や「仕上げ表」は、使用建材を特定する重要な手がかりとなります。
- ヒアリング: 建物のオーナーや管理者に対し、建設年次や過去の改修履歴、用途変更の有無を聞き取ります。
- 含有の推定: 「石綿含有建材データベース」やメーカー情報と照合し、使用されている建材に石綿が含まれている可能性(レベル1~3)を推定します。
この段階で、調査対象となる工作物や建築設備の範囲を漏れなくリストアップすることが重要です。
2. 現地目視調査
書面調査の結果を手に、実際に現地を確認します。書面と現況が一致しているか、改修によって図面にない建材が使われていないかを確認する重要な工程です。
- 網羅的な確認: 原則として、解体・改修を行う「すべての」材料を確認します。
- 隠蔽部の確認: 天井裏、壁の内部、配管の保温材の下など、通常は見えない部分も点検口などを利用して確認します。
- 判断: 木材、金属、ガラスなど明らかに石綿を含まないものを除き、少しでも疑わしいものは「分析調査」の対象とするか、または「石綿あり」とみなして管理する必要があります。
3. 分析調査(または「みなし」判定)
目視だけでは石綿の有無が判定できない場合、以下のいずれかの対応をとります。
- 分析調査: 建材の一部を採取し、JIS法に基づいた分析(定性分析・定量分析)を行います。2023年10月以降、分析調査を行う者にも所定の資格要件が求められています。
- 「みなし」判定: 分析を行わず、「石綿が含まれている」ものとみなして、飛散防止措置をとった上で工事を行うことも認められています。工期短縮やコストバランスを考慮して選択されるケースがあります。
4. 報告書の作成と行政報告
調査結果は「事前調査報告書」としてまとめ、発注者へ書面で説明する必要があります。また、一定規模以上の工事(解体工事で床面積80平米以上、請負金額100万円以上の改修工事など)については、労働基準監督署および都道府県等への報告が義務付けられています。
報告は原則として、国が整備した「石綿事前調査結果報告システム(電子システム)」を通じて行います。
専門家による調査の重要性
2026年(令和8年)1月からは、工作物(配管設備、焼却設備、発電設備など)についても、工作物石綿事前調査者などの有資格者による調査が義務化されます。
不適切な調査は、作業員の健康被害だけでなく、工事の中断や企業の社会的信用の失墜につながりかねません。安全環境エンジニアリングでは、法規制に基づいた正確なプロセスと、労働安全衛生の観点からのリスク管理を重視しています。
まとめ
アスベスト事前調査は、解体・改修工事の安全を担保する最初の砦です。安衛法や大気汚染防止法の改正により、その手続きは年々複雑化しています。
調査の実施や結果の判定に迷われた際は、専門的な知見を持つ機関やコンサルタントにご相談されることをお勧めします。八王子市左入町の本店をはじめ、私たちは常に最新の法規制に対応した安全環境の構築を支援してまいります。


